ヤギを飼う

 ヤギは貧者の乳牛と呼ばれ、乳牛のように飼育コストが抑えられ、様々な風土・気候に適応するため容易である上に、乳、肉、毛皮と利用価値が高く、古来(遅くとも紀元前7千年頃)から家畜として人と共に生きてきました(もちろんガラガラドンのように荒々しい野生のヤギもいます)。

 ヤギ乳はラクトース(乳糖)の含有量が少ないため、大人になってラクトース分解酵素が少なくなり牛乳を飲むとお腹が緩くなる傾向の強い人でもおなかを壊しにくいことが知られています。しかしながら、ミルクアレルギーの子でも飲めるという通説もありますが、確かにアレルゲンであるカゼインの構造が牛乳と異なるのは事実ですが医学的に確かめられておらず、注意が必要です。

 当舎ではヤギ乳を目的に飼育を始めましたが、いつの間にかヤギの愛らしさに心を奪われてしまい、ただただ一緒に過ごすことが楽しんでいる羽目に陥っています。

 ヤギ飼育技術情報は、全国ヤギネットワークや、家畜改良センターを通じて入手していますが、ここでは当舎でのごくごく粗放的な飼育方法を中心にご紹介します。 

ヤギの家

 ヤギは寒さには強いのですが、雨・湿気や、暑さを嫌うので、日陰・雨除けのための小屋、そして十分な草場が必要になります。静耕舎では、ご近所の方たちのご協力の下、冬場でも十分な草を供給できるよう耕作放棄地を含め5aの占有スペースと稲作をしない時期の田んぼ(5a)の利用許可を確保しています。また、また耕作放棄地の除草及び飼養目的でヤギが出張することもあります。

 雨除け、日よけの設備として可動式のものを含め、大小7つの小屋を用意しており屋内面積は15㎡ほどになります。既存の農作業小屋を活かしたものもありますが、新たに作った小屋は床をすのこ状(隙間2㎝程度)にして排泄物が床に溜まらないようにしています。また、風通しが良すぎたり、雨の時期にヤギに常駐してもらう小屋には藁をしいて暖を確保するとともに、非常食の確保もしています。

 ヤギ小屋については、こちらのブログ記事をご参照ください。

 草場は防獣策で囲っており、できる限りリードでつながず自由に草を食べられるよう留意しています。

 オスとメスを同居させると際限なく繁殖してしまいますので、小屋も餌場も放しています。

ヤギの食事

 ヤギの食事は、青草・干し草などの粗飼料と、穀物・豆・配合飼料などの濃厚飼料の他、水及び鉱塩が必要になります。

 静耕舎ではできる限り粗放する(自然な形での飼育)という考え方から青草を中心とした飼養管理をしており、冬や雨季など青草が不足する場合は稲わらを、妊娠・授乳期など特に栄養要求が高い場合にくずマメや小米などの濃厚飼料を与えるようにしています。青草は体重の10%前後以上、濃厚飼料は1%前後以下を1日の給餌量の目安としています。草場に連れて行って好きなだけ食べているときは特段食事量の制限はしていません。また、木の葉、どんぐり、樹皮、新芽、果実、笹の葉茎やいばらなど幅広い植物を食べます。もちろん植えているイネや野菜も食べるので油断がなりません。

 草場で自由に食べさせている時に気を付けなければいけないのは毒草の存在です。少量であれば影響がないものもありますが、消化不良や、下痢、血尿等の不調が生じ、ひどい場合には死亡することもあります。当地では、しきみ(はなえだ)、馬酔木(あせび)、あじさい、ヒガンバナなどが多く植生しておりあらかじめ伐採するか、ヤギを近づけないようにします。

 水は好きな時に好きなだけ飲めるように行動範囲の中に水のみバケツを置いておき、少なくとも1日1回は交換しています。

 ミネラル補給を目的として、鉱塩を小屋に置いておきます。これも好きな時、必要な時になめてくれます。ミネラルは草の中にも含まれているので、そうした給餌で足りない時や、泌乳時でミネラル需要が高まる時になめるようです。食餌の中で購入しているのは、この鉱塩のみです。牛用のもので、様々なミネラルが含まれているものを調達しています。

ヤギの健康

 ヤギがよくかかる病気は、食餌の急変、食べ過ぎ、有毒植物による消化器異常です。下痢が1日で治まらない場合は獣医さんのところに連れて行くようにしています。

 次に注意するべきなのが腰麻痺。これは、牛には無害な寄生虫が蚊を媒介してヤギに寄生し、病害を生じるものです。近隣5㎞程度に牛が生息していなければ罹患する可能性は低いと考えられますが、予防薬(イベルメクチン)を夏期には2週間に一回、冬期には1か月に一回塗布します。この薬剤はダニにも有効です。


うちのヤギたち

 2019年にヤギ2頭を受け入れて以来、繁殖や新たな受け入れを通じて、現在10頭近くになりました。それぞれが個性豊かなヤギは見ていて飽きません。多くのヤギが寂しがりやで、一緒に遊ぶと大変喜んでくれます。

シンちゃん オス

 2019年春生まれ:同年8月24日から飼育

 初代のボスです。来た頃は10㎏程度だった彼も今では30㎏程度に成長しています。体色からすると、トカラヤギの血を引いていると推測しています。 甘えんぼでわがまま。食事時に近づくと角で攻撃してくるは、寂しくなるとすり寄って悪気なく頭突きしてくるは、と傍若無人ですが、憎めない子です。静耕舎の滞在者からは、絶大な人気を誇るおバカキャラで、すでに5頭の子の親ですが、父親らしい振る舞いは期待できません。

まぁちゃん メス

 2019年春生まれ:同年8月24日から飼育

 しんちゃんと同じ時期にもらわれてきました。ザーネン種とシバヤギとの交雑種と推測しています。 マイペースで、散歩時に草を求めて自由気ままな方へ歩いて行ったりしますが、子育て時に示す愛情の深さに感心することがしばしばあります。

クラックラッ 改め クローバー オス

 2020年3月15日生まれ

  父: シンちゃん  母: まぁちゃん

(写真左。 右はミミ―)

生まれた時から元気よく、次に紹介するミミーとじゃれまわる姿は、これぞヤギという子でした。 同年5月に近所の農家にもらわれていき、クローバーと改名しました。

ミミー オス

 2020年3月15日生まれ

 父: シンちゃん  母: まぁちゃん

 生まれた時は少し元気がなく心配しましたが、まぁちゃんの庇護のもとすくすくと育ってくれました。生まれた時はほぼ真っ白だったのに、青年期に入り灰色の毛が生え始め、渋い感じに仕上がりつつあります。世の中を斜に見てるような雰囲気が漂っています。

Gaga メス

 2018年春頃 生まれ

 2020年4月29日 受入れ

 アルパイン種とザーネンの交雑種と推測

 特徴的な体色、特に黒いストッキングをはいているような脚、そして少しツンと澄ましたような性格から、Lady Gagaにちなんで名づけられました。 散歩の際におとなしくリードをかけられるのを待つなど、とても賢い子です。今ではメスグループでのトップの座についています。

麻呂  オス

 2020年6月23日 生まれ

 父: シド    母:Gaga

 Gagaがうちに来た時にすでに妊娠したのですが、それに気づかないまま、ある日生まれていた子です。ひたいに平安貴族のような眉があります。独立心が旺盛で、小さい頃から、母親から遠く離れたところまで走って遊びに行っていました。温和ですが、自由奔放で、一人でもマイペースに過ごすことができます。ミミーととても仲がいいです。

シド オス

 2019年 生まれ

 2020年8月22日受入れ

 アルパインとザーネンの交雑と推定。

 Gagaの弟。 まだ少し慣れていないのか、餌を持って行ってもすぐには近寄ってくれない用心深さを持っています。今ではグループのボスとして権勢を誇っています。

鈴 メス

 2020年11月2日生まれ

 父:しんちゃん 母:まぁちゃん

 (写真右。 左は、こお。)

 待望の女児です。元気いっぱいです。秋に生まれたので、鈴虫にちなんで名づけられました。まぁちゃんの性格を受け継いでいるのか、少しわがままです。

こお オス

 2020年11月2日 生まれ

 父:しんちゃん 母:まぁちゃん

 鈴の20分後に生まれた弟です。3月齢で母の元から独立しましたが、甘えんぼで時々母を求めて鳴く声が切なく聞こえます。

ホルス オス

 2021年1月28日 生まれ

 父:しんちゃん 母:Gaga

 予定日より少し遅れて生まれたせいか、珍しく難産でした。生まれて30分後にはしっかりと立ちあがり、乳を吸い始めたしっかり者。これからどう大きくなっていくか楽しみです。