コンニャクの作り方

 コンニャクイモからコンニャクを作る方法は、コンニャクイモを蒸してすりつぶすか、あるいは生イモでするか、また、凝固剤として何を使うか(選択肢としては石灰系、草木灰系、ナトリウム系の3系統)により、いくつかあります。ここでは伝統的な手法に近い、生芋から炭酸カリウム(草木灰の主成分)を使う方法を紹介します。なお、コンニャク(の主成分であるマンナン)がなぜ固まるのかについては、まだ十分に解明されていないようです。また、コンニャクイモのアクの主成分であるシュウ酸カルシウムがどの段階で無毒化あるいは除去されるのか、執筆者は謎に思っていますので、情報があればお知らせください。

コンニャクイモの主成分は、炭水化物とマンナンですが、このマンナンがコンニャクを形成する主役です。コンニャクイモの断面を手でなぞるとプチプチした触感がありますが、これがマンナン顆粒。もう一つ重要な成分がシュウ酸カルシウム。この成分の電子顕微鏡写真を見るとウニのような形状でいかにも痛そうです。実際、シュウ酸カルシウムがコンニャクイモを生食できない理由であり、コンニャク製造過程で、手のかゆみを生じさせる要因になっています。マンナンとシュウ酸カルシウムをアルカリに曝すことで固形化したり、可溶化したりするというのがコンニャク製造プロセスの主な原理です。

使うアルカリには、カルシウム(石灰)系、カリウム(草木灰)系、ナトリウム系があり、大量生産用に使用されているのは主にカルシウム系です。これは凝固力が強いというメリットがある一方で、苦みが強く、できたコンニャクのあく抜きをしないと食べられないというデメリットがあります。カリウム系を用いると、凝固力が弱い一方で、できたコンニャクをすぐにそのまま食べられるというメリットがあります。伝統的には、稲わらやソバがらを火にくべて炭化させ、それを水に漬ける(焼く前の素材の重量の10倍量の水)ことでカリウム溶液を作っていたのですが、現在では炭酸カリウムを薬局で購入し、利用できます。

 

 

必要な材料、道具 (できあがり 2.5㎏分)

 コンニャクイモ、、、むいて 500g

 水 2リットル

 炭酸カリウム 8.5g (あるいは 小さじ 3/4)

 

 おろし器、大鍋、大きなボウル

 

 

作り方

1.分量の水に分量の炭酸カリウムを加えてよくかき混ぜ溶かします。

2.コンニャクイモの皮をむき、扱いやすい大きさに切った後、1.の溶液の中ですりおろします。溶液の中ですりおろすのは、すったコンニャクイモが均等に溶液に混ざるようにするためです。また、このプロセスでは手のかゆみを生じさせないために、ゴム手袋などを着用することが望ましいです。

3.分量のコンニャクイモをすりおろしたら、木べらなどで軽く混ぜ、2時間程度放置。場合によっては一晩おいてもよい。

4. 大鍋にたっぷりの湯を沸かす。沸騰させた後、大きな泡が出ないように火を弱める。

5.3.でできた固いスライム状の溶液(コンニャクノリと呼びます)を、濡らした湯飲みなどですくい、おにぎりの容量でこんにゃく玉に整形し、4.の湯の中に順次入れていく。2.のプロセスほどではないが、手がかゆくなるので、ゴム手袋をするのも良い。また、湯に入れたときにはまだコンニャクが固まっていないため、湯が強く沸騰していると、その泡によりコンニャク玉が散ってしまうことがあるので、注意。

6.木べらなどで、鍋底にくっついたコンニャクを剥がす。コンニャクの投入により湯温が下がるので、火力を調整し、沸騰寸前の温度を保つ。

7.30-40分茹で、コンニャクが湯面に浮かび上がってきたら、冷水にとる。茹ですぎてもあまり大きな問題はない。

8.水を3-4回替え、コンニャクを十分に冷やす。