キクイモ

 概要: キクイモはキク科ヒマワリ属の多年宿根草で、その塊茎を食用とします。北アメリカが原産で日本には江戸時代末期に渡来しました。そのシャリシャリとした食感が特徴で、生食も可能です。

 栄養学的には、同じ芋でもジャガイモと比べるとカロリーは半分以下で、でんぷんではなく水溶性食物繊維のイヌリンを多く含有することが特徴です。イヌリンは食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果が報告されているほか、インスリン分泌を誘発することが知られており、先述のカロリーの低さとあいまってカロリー制限、糖質制限での食事療法にも活用が期待される食材です。イヌリンは酸性条件下で加熱すると分解しやすいことが知られていますので、ゆでてポン酢などをかける場合は、食べる直前に味付けするようにしましょう。

 新鮮なキクイモは固く締まっていますが、日にちを置くと水分が抜けて柔らかくなります。イモに付いた土を落としてしまうと日持ちが悪くなるため、土付きのまま冷蔵庫や野菜保冷庫で保管すると1か月程度は持ちます。それ以上保存する場合は、新聞紙にくるんだり、天日干しにするなどの工夫が必要です。

主な利用方法 (調理方法)

<キクイモのシャキシャキサラダ>

  生のまま食べるので、その食感と栄養を最大限生かせます。ごはん・お酒のあてにどうぞ。

 材料 キクイモ、ゴマ油、塩、胡椒

 作り方 ① 流水の中でキクイモ表面の泥をたわしでこすり落とす。

     ② ①を皮をむかずに食べやすい大きさに切る(拍子木切りがおすすめ)。

     ③ ゴマ油と塩・胡椒(あらびき黒がおすすめ)をかけ、適度に混ぜる。

<キクイモのきんぴら>

  しゃくしゃくした食感を楽しめる一品。

 材料 キクイモ、ゴマ油、醤油、みりんあるいは砂糖

 作り方 ① サラダの時と同様に表面の泥を落とし、千切りにする。

     ② フライパンに薄くごま油を熱し、キクイモを炒める。

     ③ キクイモに熱が周ったら、みりんあるいは砂糖、及び醤油で味をつける。

     ④ 水気が少ない場合は日本酒や水を足し、味が均一に行きわたったら強火で

                           水気を飛ばして仕上げる。

<キクイモのツナマヨサラダ>

  洋風な一品にも仕上がります。

 材料 キクイモ、ツナ缶、マヨネーズ、ゴマ油、砂糖

 作り方 ① キクイモは泥を落とし、5㎜幅の薄切りにする。

     ② ①を容器に入れラップをふわっとかけた上で
       電子レンジ(目安 キクイモ200gで600W2-3分)で加熱する。

     ③ 油をきったツナ缶と、マヨネーズ、ゴマ油、砂糖(体積比で6:2:1くらい)を混ぜる。

     ④ 味がなじんだら、パセリや小葱のみじん切りなどを散らすとおしゃれに仕上がる。

栽培の方法

 土質も選ばず病害虫にも強く繁殖力旺盛で栽培が簡単な部類に入ります。一方で放置すると雑草化するため、「要注意外来生物」に指定されています。

 日当たりを好み成長すると、1-3mの高さにもなり、9-11月頃に開花した後、急激に食用となる塊茎が肥大化します。

栽培カレンダー

 吸肥力が高く元肥や追肥は特段必要ありませんが、高い吸肥力により連作すると土壌が疲弊するので、カリウム(草木灰)を中心とした施肥をすると良いようです。また、収穫の際に塊茎が残っていると、それから繁茂するため、畝を高く(というよりも畝間を深く)仕立て、必要以上に広がらないように手当します。

 植付は塊茎(食用部分)を植えます。株間は50㎝~1m程度。密植にすると除草の手間が省けますが、一株当たりの収穫量が落ちます。連作する際は、収穫した際に幾つかの塊茎を残置しておくだけでよいです。新たに植える場合は、4月上旬頃までに植えると十分な収穫が期待できます。

 7月頃に除草と肥効を目的とした中耕・土寄せをすると収穫量が増えます。

 収穫は花が終わった後、地上部が枯れ始めたころに、イモを傷つけないように掘り上げます。収穫せずにおいておいても3月頃までは傷みません。掘り上げて土を洗い流すと、1月ほどしか保存できないので、必要量に応じて収穫するのがいいでしょう。