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獲ったどー

近年人里近くにもクマや猪、サルが出たというニュースが東京でも報じられるようになった。これまで野生動物の世界と人間界のバッファーとして機能していた里山の管理がなされず、動物たちが気軽に人里に出てくるルートができてしまったと同時に人里には色々旨いものがあると動物たちが知ってしまったことが原因だと言われている。全国で農産物への被害総額は減少傾向にあるものの年間150億円を超えており、和気町でも年間2600頭の猪や鹿が獲られているにも関わらず、農作物への被害は後を絶たない。

そんな壮大な状況とは別に、消費するものはなるべくみじかで生産するという哲学の元、狩猟の免許を取得し、昨年来試みてきたのだが、昨年は文字通り鳴かず飛ばず。今年は地元に良い師匠を見つけ獣道を見る目を教わりながら、くくり罠をかけてきた。猟期は11月15日から始まっているのだが、師匠の都合で12月1日に罠を設置。それから毎日のようにかけた罠を見回り、肩を落としながら山を降りる日が続いたある日。

いくつかの罠をいつものように順に見回り、自宅に一番近い(100mくらい?)罠に近づいた時、いつもと違い音がする。ガサガサッ、ガサガサッと罠近くの藪が揺さぶられているのだ。よーく目を凝らして観察すると、茶色い塊が蠢いている。イノシシだ!街中から集落への道では鹿に会うことの方が多いので、初めての獲物は鹿だと勝手に想像していたので、意外っちゃ意外だった。そろそろと近付くと向こうもこちらに気づき怒気を放ってくる。歯をガチガチと鳴らし、周りの低木を噛み砕いては吐き捨てる。ここが狩で一番危ない瞬間。猟師の中にはイノシシの牙にやられて怪我をした人が数多くいるのだ。これまでは他人の猟を眺めるだけだったので気楽であったが、今回は自ら止め刺しをしなくてはならない。イノシシが死に物狂いになって暴れると、かかっているワイヤーが切れたり、ワイヤーにかかっている脚がちぎれてしまい、イノシシが自由に解放されることも多々あるという。迅速に勝負をつけなくては、、、、。しかし、近づこうとすると向こうも威嚇し、ワイヤーが許す範囲で突進して来たりする。怖い。だがやらねば。よき(斧)を手にそろりそろりと近づき、イノシシが来れないギリギリのところを見極める。かかってこいと念じたのが通じたのか、また突進して来た。近づいたところで、ガツン。よきの峰を頭めがけて振り下ろす。

コテン。先ほどの荒々しさが瞬時に消え、昏倒。念のため、もう一度頭を打った上で、師匠がナイフを喉元に深く突き刺す。やがて血が流れ出し、そして末期の痙攣。

重さ60kg程度のそれを引っ張りながら山を降り、山裾で腹を割って内臓を取り出し、山の神様に返す。残った身を軽トラに乗せて、まずは役場へ。役場で検収してもらい、有害鳥獣駆除のカウントをしてもらうのだ。役場では証拠品として写真を撮り、両耳と尻尾が切り取られ回収。これでやっと自由に身を処理できるようになる。

まずは足先と頭を外して、その後皮剥ぎ。良い道具を揃えたい気はするが、自分はカッターでこの作業をする。皮が剥げたら、四肢を外して、あばらからバラ肉とハラミをとって、背骨の裏からヒレを取って、これでカッターはお役御免。取った肉を台所に持ち込み、今度は包丁でさらに細かく分解していく。四肢から肉のみを取り、あばらは一本ずつに分けスペアリブにする。そんなこんなで始めてから5時間くらいで解体終了。獲れた肉は20kgくらい?しばらくはイノシシ三昧の日々になるなぁ。