柿酢の作り方

 秋になるとたわわに実る柿。農村部では干し柿を作る人も少なくなったので、冬季に放置され鳥や獣の食糧となっているだけの樹も少なからずあります。時期になるといろんなところからおすそ分けされるのですが、食べきれないのが正直なところ。

 そんな時、大量消費して、さらに一年分以上の酢が取れるこのレシピがおすすめです。

必要な材料、道具

・柿 いくつでも。

・容器 柿をすべて入るだけの大きさの容器。酢に変わっていきますので水漏れのしないものを使いましょう。口は広い方がいいので、漬物樽がおすすめ。

・ざる

・布

作り方

1. 柿は、目立った汚れのみ乾いた布や紙でふき取り、へたやへたの下の汚れがたまっている部分を切り落とす。

2. 容器に詰めて、虫などが入らないようにふたをする。この時、密閉しない。適当なふたがない場合は、布、あるいは紙を開口部にかぶせ、ひもなどで縛ってふたをする。暖房のかかっていない室内で保管する。

3. 一日一回へらなどでかき混ぜる。最初は柿が固くて混ぜられないので、むしろ底に溜まった溶液で柿の表面を洗うような気持ちで。液状部分が増えてかき混ぜられるようになったら、液の表層部分と底の部分を返す気持ちで。

4. 一か月程度たったら、味見をし、十分な酸っぱさになったら、ざるの上に布をひいて、濾す。 このプロセスは結構時間がかかる。こしあんを作る時のように晒し木綿のふくろに詰めて圧力をかけてもよいが、一晩程度時間がかけて自然ろ過をする方が澄んだ酢に仕上がる。

5. 密閉できる瓶に詰めて、保存。 すぐに使えるが、1年、2年と熟成させてもよい。

技術の要点…柿の糖分を、酵母菌の力でアルコール発酵させ、さらに酢酸発酵させます。アルコール発酵は嫌気的に、酢酸発酵は好気的に進みます。

j漬けることが重要です。酵母がよく働くには酵母・糖分・アルコールなどまが同じ液相で混ざっていることが重要なので、柿がなるべく早く液状になる方がいいです。そのため、固い柿よりは熟柿の方が成功しやすいでしょう。

失敗の原因として考えられるのが、カビや他の雑菌が増えて酵母より優位に立つことなので、これらの雑菌の増殖を抑えることが重要になります。そのため、温度の高い場所に保管しない、また、柿が部分的にも液状化してきたら、このアルコールを含んだ液で柿を洗うことが重要になります。また、発酵後半で酢酸発酵が優勢になる時期には十分攪拌することで空気を液の隅々までいきわたらすことが重要になります。

柿には渋柿と甘柿がありますが、どちらでも柿酢になります。渋柿の渋み(タンニン)は中間生成物のアルコールにより不溶化します(焼酎による渋抜きと同じ原理)ので、酢は渋くなりません。